SEOの施策そのものは分かっているのに、CMS(コンテンツ管理システム)の仕様が壁になって実装できない――そんな経験はないでしょうか。Search Engine Journalに、オーストラリアのSEOコンサルタントであるサリー・ミルズ氏が「すべてのCMSが標準で備えるべき11のSEO機能」をまとめた記事を寄稿しました。CMSを選ぶとき、また今のCMSの弱点を把握するときのチェックリストとして役立つ内容です。
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背景:同じ「開発者への依頼」が繰り返される問題
ミルズ氏は、SEOの正解はサイトや業界、ブランドによって変わるにもかかわらず、多くのCMSが一つのやり方を押し付けていると指摘します。その結果、SEO担当者は同じような修正依頼を何度も開発チームに出すことになります。
記事で挙げられている例は、決して珍しいものではありません。
- 2009年に主要検索エンジンが共同で発表したcanonicalタグですら、同じ年に関わった3つのシステムで実装に開発者が必要だった
- Webflowではエディタが表に対応しておらず、HTMLの表を直接書いた
- WordPressでは、robots.txtの編集、サイトマップからの除外、ページ単位のnoindexに、開発者・ファイルへのアクセス・重いSEOプラグインのいずれかが必要
同氏はこの11項目を「最低限」と位置づけています。
コンテンツを正しく届けるための基本(1〜2)
- 意味の通ったHTML:データは表(table)、リストはul/ol、サイドバーはaside要素で書く。検索エンジンのクローラーにもスクリーンリーダーにも分かりやすく、CSSも整理しやすくなります。
- サーバー側でレンダリングされたコンテンツ:Googleはレンダリングを後回しにして処理するため、反映が遅れることがあります。さらに、OpenAIやAnthropicを含む多くのAIクローラーはJavaScriptを実行しません。JavaScriptを実行しないと表示されない内容は「ほとんどのボットには見えない」と考えるべきだ、というのが同氏の立場です。
AI検索が広がるなか、クローラーが読める形でコンテンツを出す重要性は増しています。この点はAI検索時代にまず点検したい、クローラーと機械可読性の基本でも取り上げました。
クロールとインデックスを制御する機能(3〜6)
- 制御できるXMLサイトマップ:フォルダ単位・ページ単位でサイトマップから除外できること。hreflang用サイトマップを制御できればなお良い。Shopifyは市場ごとのURLを自動で含めるため、追加の市場を使うとページを外せない、と指摘されています。
- 編集できるrobots.txt:記事では、HTTP Archiveの「Web Almanac 2025」を引き、robots.txtへのリクエストの約15%は200を返さない、つまりファイルが存在しないと紹介しています。
- canonicalタグ:無いと、検索エンジンが意図しないバージョンのページをインデックスする恐れがあります。初期設定で有効になっておらず、canonicalが欠けたWordPress・SilverStripe・Webflowのサイトを同氏は見てきたそうです。
- meta robots:ページごとにインデックスの可否を制御できること。nosnippet、indexifembedded、max-snippetなどスニペットの制御までできれば理想的です。
表示とURLを整える機能(7〜11)
- タイトル・メタディスクリプション・OGタグ:プラグインや開発者なしで設定できること。WordPressは標準ではタイトルのみで、メタディスクリプションとOGタグはありません。
- 正しいステータスコードを返すエラーページ:404・410・5xxのページをCMSで作れること。よくある問題は、「見つかりません」と表示しながらサーバーは200を返し、そのエラーページがインデックスされてしまうケースです(いわゆるソフト404)。
- ホストの統一:HTTPS、wwwあり・なしを一つに決め、リダイレクトチェーンなしで301転送すること。
- 末尾スラッシュと大文字小文字の統一:URLを小文字に、末尾スラッシュの有無を一方に統一して301転送すること。Shopifyは末尾スラッシュ付きのURLを転送しないため、ボットが正規でないURLに時間を使ってしまう、と指摘されています。
- 自由に設計できるURL構造:フォルダごとに重複したindexのURLを作る、テンプレートごとにURLの形を固定する、といったCMSの都合を押し付けないこと。
URLの表記ゆれが別URLとして扱われる問題は、URLの角括弧と%5B %5Dは別URL扱いになる件とも共通する考え方です。
「あると助かる」発展的な機能
同氏は最低限の11項目に加え、次のような機能も挙げています。
- 目次の自動生成:H2から目次(ページ内リンク)を作り、見出しの除外やH3・H4の追加も選べること。検索結果のサイトリンクにつながることもあるとしています。
- リダイレクトと404の管理:URL変更時に旧URLから301を自動で設定する、リダイレクト先を経由している内部リンクを最終URLへ書き換える、404になっている内部リンクのレポートを出す、410を返せるようにする、など。リダイレクト管理では、ステータスコードの選択、正規表現、パラメータの扱い、ループ防止、期間限定ページ向けの期限設定が挙げられています。
- 画像の最適化:1枚の画像に安定したURLを1つ、アップロード時にリサイズ・圧縮・WebP/AVIF変換、CLSを防ぐwidth/height属性、最初の画像を除く遅延読み込み、ページごとのOG画像、max-image-preview:large。1枚の画像が複数のURLで配信されると、画像検索で重複の問題が起きうると指摘しています。
- API・CLI・MCPによる一括操作:最低でもCSVでの一括アップロード。同氏は最近、MCP(AIツールと外部システムをつなぐ仕組み)やCLIで自分のWordPressサイトを更新しているそうです。
- head・bodyへのスクリプト追加欄:構造化データや計測タグを、開発者への依頼なしに試せるようにするためです。
実務で何をすべきか
記事の内容を踏まえると、SEO担当者が取り組めることは次のとおりです。
- 今のCMSを11項目で棚卸しする:「標準でできる」「プラグインでできる」「開発者が必要」「できない」に分けると、弱点がはっきりします。
- 繰り返し出している依頼を洗い出す:同氏は、何度も出てくる依頼を分析し、開発者と協力して自動化することを勧めています。
- CMSの選定・移行時の要件に入れる:リニューアルの前に、この一覧を要件定義に入れておくと、公開後の手戻りを減らせます。
- 変更には安全策を設ける:同氏自身、正規表現のリダイレクトに紛れた「|」一文字でサイトを落としたことがあるそうです。リダイレクトは保存前にサンプルURLで試す、スクリプトは検証してから公開する、AIエージェントやMCPで本番サイトを触るときはテストと歯止めを用意する、といった運用が勧められています。
なお、同氏は「CMSはそれぞれ違う」とも述べており、どのCMSが最適かは状況次第です。今あるCMSでできることを把握し、足りない部分をどう補うかを考えるのが現実的でしょう。
まとめ
canonicalタグ、robots.txt、正しいステータスコード、URLの統一といった項目は、SEOの基礎中の基礎です。しかし、CMSの初期設定や仕様のせいで、それが当たり前に実装されていないケースはまだ多くあります。特に、AIクローラーの多くがJavaScriptを実行しないという点は、AI検索での見え方にも直結します。まずは自社のCMSをこの11項目で点検し、「毎回開発者に頼んでいる作業」を減らすところから始めてみてはいかがでしょうか。





