SEOのレポートで使う「順位」「PageSpeedのスコア」「AI検索の規模」といった数字が、サイトの実態とは別の理由で動いてしまうケースが、ここ数週間で相次いで報告されています。Search Engine Journalの週次まとめでは、順位計測ツールが集めるGoogle検索結果の異変、Lighthouseの更新によるスコアの変化、そしてChatGPTの「検索量」をめぐる数字が取り上げられました。共通するのは、数字を使う前に「どう集めた数字か」を確かめる必要があるという点です。
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背景:レポートの数字は「計測の仕組み」に左右される
順位計測ツールは、Googleの検索結果ページを自動で取得して、自社ページの位置を記録しています。PageSpeed Insightsのラボスコアは、実際のユーザーではなく、シミュレーションで読み込みを再現した結果です。どちらも、Google側の表示の変化や、ツール自体の更新によって、ページを何も変えていなくても数字が変わることがあります。担当者が「改善した」「下落した」と判断する前に、まずこの前提を押さえておく必要があります。
変化1:検索語の「一語だけ」に関する無関係な結果が混ざる
1つ目は、Googleの検索結果に、検索語のうち一語だけに関する、意図と関係の薄い結果が表示される現象です。これが計測対象のページを押し下げ、順位レポートを歪めるおそれがあります。
- 順位計測ツールのSE Rankingが、Google(米国・デスクトップ)の1万キーワードを調べたところ、問題とされたケースの84%が、検索語の一語だけに関する無関係なリスティングでした。
- そうした無関係なブロックの96.5%は、9位以下から始まっていました。
- 別の手法で調べたNozzleでは、影響を受けた検索結果の週ごとの割合が、10月中旬に1.5%まで下がった後、10月26日の週に7.6%へ上昇しました。
つまり、上位8位ほどは比較的安定していても、9位前後より下の順位は、この現象の影響を受けやすい可能性があります。
変化2:Googleの「goto」リダイレクトURLで、どのページが順位を取ったか分かりにくくなる
2つ目は、検索結果のリンクが直接のURLではなく、Googleの「goto」というリダイレクト用のURLになっている問題です。この場合、ツールはリダイレクト先を解決しないと、実際にどのページが表示されたのかを記録できません。
- データ提供会社のDataForSEOによると、Googleは1つの検索結果ページから、一定時間内に解決できるgotoリンクの数を制限するようになりました。そのため同社の一部のモードでは、gotoのURLの約半分しか解決できなくなるとしています。
- SERP取得サービスのSerperは、この制限の開始を10月30日としています。
- SerpApiでも、gotoリンクが直接リンクに置き換わる障害が11月3日に起票され、11月4日時点でも「原因特定済み」の段階でした。
自社ツールの裏側で、どのデータ提供会社が使われているかによって、影響の出方が異なる可能性があります。
変化3:PageSpeed Insightsのスコアが、ページを変えなくても変わる
3つ目は、PageSpeed InsightsがLighthouse 13.6.0に更新されたことです。ラボスコアの計算に使う読み込みシミュレーション(Lanternと呼ばれる仕組み)が変わり、Chromeが各リクエストに付ける「レンダリングをブロックするかどうか」の情報を使うようになりました。その情報がない場合は、取得の優先度(fetch priority)で代用します。
GoogleのBarry Pollard氏はBlueskyで、シミュレーションによるFCP(最初に何かが表示されるまでの時間)とLCP(最も大きな要素が表示されるまでの時間)がより正確になり、全体的には良い結果が出やすくなると説明しています。また、JavaScriptを多く使うサイトほど影響を受けやすいとのことです。
ここで注意したいのは、更新の前後でスコアを比べると、改善の一部はページの改修ではなく、計算方法の変更によるものかもしれないという点です。一方、同じレポート内のフィールドデータ(実際のユーザーから集めたデータ)は、このシミュレーションとは関係なく集計されています。
変化4:ChatGPTの「検索量はGoogleの約5分の1」という数字の中身
4つ目は、AI検索の規模を示す数字です。ChatGPTのコンシューマー向けプロダクト責任者であるAdam Fry氏は、Big Technologyのインタビューで、ChatGPTの「検索的なクエリ」の量が、Googleのクエリ量のおよそ5分の1に達していると述べました。
ただし、OpenAIはChatGPTがWebを参照した質問をすべて「検索」として数えています。また、比較の基になるGoogleの数字、期間、市場は示されていません。一方、Ahrefsが11万8,671サイトを対象にまとめた10月の参照元データでは、トラフィックに占める割合はGoogleが24.74%、ChatGPTは0.36%でした。
前者は「ChatGPTがWebを参照した質問の数」、後者は「サイトに実際に送られた訪問の数」で、そもそも測っているものが違います。以前の記事「ChatGPTからの流入はGoogleの1%未満?」で取り上げたデータとも併せて、どの指標なのかを区別して読む必要があります。
影響:誤った「原因」を探してしまうリスク
これらを知らずにレポートを読むと、次のような判断ミスにつながりかねません。
- 9位前後のページの順位下落を、コンテンツの問題だと考えて、不要な書き換えをしてしまう。
- 順位を取っているページを誤って記録し、別のページを改善対象にしてしまう。
- Lighthouseの更新でスコアが上がっただけなのに、施策の成果として報告してしまう。
- 「Googleの5分の1」という数字だけを見て、ChatGPTからの流入を過大に見積もってしまう。
実務で何をすべきか
- 9位以下への下落を点検する:9月下旬以降に9位以下へ落ちたページがあれば、上に入ってきた結果が、検索語の一語だけに関するものになっていないか、実際の検索結果で確認します。
- 記録されたURLを確かめる:10月30日ごろ以降のデータについて、ツールが保存したURLと、Googleのリダイレクトが実際に指す先が一致しているかを比べます。
- Search Consoleと突き合わせる:同じクエリの表示回数・クリック数を確認し、順位ツールの変化が実際の検索パフォーマンスにも表れているかを見ます(SE Rankingも、この確認方法を勧めています)。
- Lighthouseのバージョンをそろえる:比較する2つのレポートが同じLighthouseバージョンかを確認し、改善を主張する前にフィールドデータも見比べます。
- AI検索の数字は「何の数か」を明記する:チャネル計画や社内説明で使うときは、質問数なのか、訪問数なのかを書き添えます。
まとめ
順位、PageSpeedのスコア、AI検索の規模は、どれもSEO担当者が日常的に報告する数字ですが、今回の事例はいずれも、サイトの変化ではなく計測の仕組みの変化で数字が動きうることを示しています。変化をレポートするときは、使ったツールやそのバージョン、指標の定義を一緒に記録しておくと、あとから原因を切り分けやすくなります。数字そのものだけでなく、「その数字がどう作られたか」まで含めて読む習慣を持つことが、AI時代のSEOでも変わらず大切です。





