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AI時代でもSEOとWebサイトは必要?Terry Samuels氏が語る「最適化・内部リンク・ブランド構築」の重要性
AI検索の普及によって、「従来のSEOは終わる」「これからはWebサイトを持たなくてもよい」といった意見が聞かれるようになりました。
しかし、デジタルマーケティングの専門家Terry Samuels氏は、AI時代になってもSEOやWebサイトの重要性はなくならないと主張しています。
検索エンジンやAIサービスが企業を理解するためには、参照できるWebページ、動画、SNS、プレスリリース、ビジネス情報などが必要だからです。
The Third Knock Podcastに出演したSamuels氏は、AIによって変わるSEO、AI生成サイトの問題点、内部リンクの重要性、信頼できるSEO会社の選び方、Webサイトなどのデジタル資産の所有権について語りました。
YouTubeでは、参考記事よりも踏み込んだ失敗事例や成果例も紹介されています。
YouTube動画:
The Third Knock Podcast featuring Terry Samuels
Terry Samuels氏とは
Terry Samuels氏は、米国で約15年にわたりデジタルマーケティングに携わってきた技術者、起業家、教育者です。
現在は、主に次の事業を運営しています。
- Salterra Digital Services
- Salterra University
- SEO Spring Training Digital Marketing Conference
もともとはSEO専門家ではなく、ソフトウェア開発の世界からキャリアを始めました。
大手薬局チェーンが存在しない小規模な地域で、医師と独立系薬局が情報をやり取りするためのソフトウェアを開発していたと説明しています。その後、Webサイト制作に進み、顧客サイトを検索結果へ表示させる必要が生じたことで、SEOへ本格的に取り組むようになりました。
出張中の突然の解雇が起業の転機に
Samuels氏が企業勤務を離れる大きな転機となったのは、Fortune 100企業で技術部門の責任者として働いていたときの経験です。
シカゴへの出張中、会社から突然解雇を通知され、同時に法人カードなども停止されました。
その結果、残りのホテル代やレンタカー代を一時的に自分で支払わなければならず、会社から費用を払い戻されるまで約9か月かかったといいます。
この経験によって、大企業で働くよりも、自分で戦略、顧客関係、仕事の進め方を管理できる事業を築こうという考えが強くなりました。
現在は単にSEO施策を提供するだけでなく、企業の営業、顧客対応、業務プロセス、利益構造などにも関わるコンサルティングを行っています。
Samuels氏が繰り返し強調しているのは、デジタルマーケティングの仕事には「人を助けたい」という姿勢が必要だという点です。
ただし、助言を聞かず、専門家を細かく管理しようとする顧客とは仕事を続けない場合もあると話しています。
AIでSEOは不要になるのか
対談の中心テーマの一つが、「AIによってSEOやWebサイトは不要になるのか」という問題です。
Samuels氏の答えは明確です。
AIによってSEOが消えるのではなく、最適化の対象と方法が広がるだけだと考えています。
ChatGPT、Perplexity、GoogleのAI検索などは、企業について回答する際、インターネット上に存在する情報を利用します。
企業が情報を公開していなければ、AIはその企業について理解することも、回答の中で紹介することもできません。
そのため、従来のGoogle検索だけでなく、AIに情報を発見・理解・参照してもらうためにも、次のようなデジタル資産が必要になります。
- 企業の公式Webサイト
- 商品・サービスページ
- 会社情報
- ブログや解説記事
- YouTube動画
- SNSへの投稿
- Googleビジネスプロフィール
- 業界サイトの掲載情報
- プレスリリース
- 顧客レビュー
- 構造化データ
Samuels氏は、AIサービスを「巨大なスクレイパー」と表現しています。
表現としては単純化されていますが、伝えたい趣旨は、AIが企業自身の頭の中から情報を取り出すのではなく、オンライン上で発見できる情報をもとに回答を組み立てるということです。
企業情報をAIへ届けるには、SEO、GEO、AEOなど呼び方が変わっても、何らかの「最適化」が必要だと説明しています。
Webサイトは今後も情報発信の中心になる
AI検索では、ユーザーが検索結果をクリックせずに回答を得るゼロクリック検索が増える可能性があります。
それでも、Samuels氏はWebサイトが企業のデジタル活動の中心であり続けると考えています。
Webサイトは、企業が自分で管理できる情報源だからです。
SNS、ビジネスプロフィール、動画プラットフォームなどは重要ですが、利用規約やアルゴリズムの変更、アカウント停止などの影響を受けます。
一方、自社のドメインとWebサイトであれば、会社情報、サービス内容、事例、料金、問い合わせ導線などを自社で管理できます。
また、AIが企業を回答内で紹介する場合にも、情報の根拠や引用先としてWebサイトが使われる可能性があります。
Samuels氏は、検索結果の見せ方は変化しても、AIや検索エンジンが読み取れる情報源を持たなければ、企業が検索結果に現れるのは難しいと説明しています。
AI生成サイトの問題点
Samuels氏は、AIによるWebサイト制作自体を否定しているわけではありません。
自身の会社でも、AIをコンテンツ制作、画像制作、リード獲得、コンバージョン改善などに使用しています。
問題としているのは、AIが生成したものを技術者が確認せず、そのまま完成品として高額で販売する行為です。
動画では、AIで作られた減量関連企業のWebサイトを調査した事例が紹介されています。
そのサイトには、1ページ内にH1見出しが37個存在していたといいます。
さらに、Googleに登録されるページ数が不安定で、サイトを作り直す前には約600キーワードで表示されていたものが、改修後には約70キーワードまで減少していたと述べています。
もちろん、H1の数だけで順位低下の原因を断定することはできません。
しかし、見出し構造が極端に乱れているサイトには、次のような問題も存在する可能性があります。
- ページの目的が不明確
- 見出し階層が整理されていない
- 重要な情報がページ下部に埋もれている
- 地域情報が不足している
- URL構造が適切でない
- 内部リンクが整理されていない
- クロールやインデックスに問題がある
- 重複ページが存在する
- コンバージョン導線が弱い
AIは数時間で大量のページを生成できますが、検索エンジンがどのようにサイトをクロールし、ページ同士の関係を判断するかまでは、自動的に適切になるとは限りません。
高額なAIサイトが販売されている問題
動画では、AIで短時間に生成された可能性のあるWebサイトが、事業者に高額で販売されている問題も語られています。
一例として、Shopifyサイトの制作に4万ドルを支払った事業者がいたとSamuels氏は話しています。
また、AIに文章、画像、ページ制作のほとんどを任せながら、数万ドル規模の料金を請求する制作会社もあると指摘しています。
AIを使うこと自体が問題なのではありません。
重要なのは、次の点を顧客へ説明することです。
- AIをどの工程で使用するのか
- 人間がどの部分を確認するのか
- オリジナル制作との違い
- 料金にどのような差があるのか
- 技術監査を実施するのか
- 公開後の改善を誰が担当するのか
Samuels氏の会社でも、AIを利用した低価格のサイト制作プランを用意しています。
ただし、完全なオーダーメイド制作との違いを説明し、顧客が理解したうえで選択できるようにすることが重要だとしています。
AIは専門家の代わりではなく作業を支援する道具
Samuels氏は、ChatGPTやClaudeなどを実際のマーケティング業務で利用しています。
特に有効だと考えているのが、コンバージョン率改善です。
成果の出ていないランディングページをAIへ読み込ませ、次のような改善案を出させる方法を紹介しています。
- タイトルの改善
- メタディスクリプションの改善
- CTAの見直し
- ページ構成の改善
- 訴求内容の不足確認
- コンバージョンを妨げる要素の発見
ただし、AIへ会社の業種、顧客、提供地域、目的などを正しく伝えなければ、一般的で役に立たない提案になります。
ローカルビジネスのページであれば、所在地や対応地域をタイトル、URL、H1、本文などに反映する必要があります。
動画で紹介された別の監査例では、Phoenix向けのサービスページであるにもかかわらず、タイトルや説明文にPhoenixという地域名が入っていませんでした。
このような基本情報が不足したままAIで大量の文章を生成しても、地域検索で成果を出すのは難しくなります。
SEOの基本はAI時代にも変わらない
Samuels氏は、AI検索への対応を考える前に、従来からある技術的な基本を整えるべきだとしています。
動画で挙げられた主な項目は次のとおりです。
- タイトル
- メタディスクリプション
- URL
- H1などの見出し
- 内部リンク
- ページ構造
- 地域情報
- 301リダイレクト
- インデックス状況
- アクセス解析
- 電話やフォームの計測
- 構造化データ
- コンバージョン導線
AI検索対策という新しい名前を付けても、Webサイトの基礎が壊れていれば、AIにも検索エンジンにも正しく理解されにくくなります。
最も重要なのは内部リンク
Samuels氏が特に重視しているのが、内部リンクです。
動画では、現在でも内部リンクが最も重要なSEO要素の一つだと述べています。
内部リンクには、単にユーザーを別のページへ移動させる以上の役割があります。
サイトの構造を伝える
検索エンジンは内部リンクをたどり、どのページが存在し、どのページ同士が関連しているかを理解します。
重要なページを示す
多数のページからリンクされているページは、サイト内で重要なページである可能性が高いと判断されます。
ページのテーマを伝える
リンクに使うアンカーテキストは、リンク先ページが何について書かれているかを理解する手掛かりになります。
評価をサイト内で分配する
外部サイトから得たリンクの価値を、内部リンクを通じて関連ページへ流すことができます。
301リダイレクト後も古い内部リンクを放置してはいけない
動画では、内部リンクに関する具体的な改善例も紹介されています。
サイト運営者がページを削除した場合、古いURLから新しいURLへ301リダイレクトを設定することがあります。
しかし、リダイレクトを設定しただけで、サイト内にある古いURLへのリンクを修正していないケースが少なくありません。
このリンクはアクセス時に新しいページへ転送されるため、一般的なリンク切れチェックでは「壊れたリンク」として検出されない場合があります。
それでも、内部リンクが毎回リダイレクトを経由する状態は理想的ではありません。
Samuels氏によると、このような内部リンクを新しいURLへ直接変更したことで、検索パフォーマンスが急激に改善したサイトが複数あったといいます。ある案件では、約600ページにわたって修正を行ったと説明しています。
具体的な順位やアクセス数は示されていませんが、古い内部リンクを整理することが技術的SEOの重要な作業であることが分かります。
検索結果に誤ったページが表示される原因
内部リンクを不適切に設計すると、本来表示したいページではなく、別のページが検索結果に表示される場合があります。
たとえば、「Phoenix 歯科医院」という検索にPhoenix向けの地域ページを表示したいのに、トップページや別地域のページが表示されるケースです。
原因として考えられるのは、次のような問題です。
- 地域ページ同士を過剰に相互リンクしている
- 同じアンカーテキストで複数ページへリンクしている
- トップページに多数のキーワードを集中させている
- canonicalの指定が不適切
- ページの役割が重複している
- 古いページへの内部リンクが残っている
動画では、この問題を修正するために、内部リンク、canonical、パーマリンク、301リダイレクトまで変更しなければならないケースがあると説明されています。
被リンク購入よりオンページ改善を優先
Samuels氏は、以前はゲスト投稿やニッチエディットなどの被リンクを購入していましたが、近年は積極的に購入していないと話しています。
理由として、被リンクの価格上昇とインデックスの遅さを挙げています。
以前30ドル程度だったリンクが150ドル以上になり、検索エンジンに認識されるまで数か月かかるケースもあるといいます。
そのため、現在は次のようなオンページ施策を優先しています。
- 内部リンクの修正
- タイトルの改善
- メタディスクリプションの改善
- H1の整理
- ページ構造の改善
- 既存コンテンツの更新
これらは自分で管理でき、比較的早く変更を反映できるためです。
一方で、被リンクがまったく不要だとは述べていません。
Phoenixの空調設備会社など、競争の激しいローカル市場では、一定の外部リンクが必要になる場合もあるとしています。
ただし、毎月決まった数のリンクを購入することを目的にするのではなく、質の高い情報発信、広報活動、顧客対応などによって、自然なリンクを獲得することを目標にすべきだと説明しています。
既存の良質な被リンクを強化する考え方
新しい被リンクを買い続けるのではなく、すでに獲得している良質な被リンクを活用する方法も紹介されています。
たとえば、2年前に業界サイトから自社の重要ページへ良質なリンクを獲得している場合、そのリンク元ページに対してさらにリンクや露出を増やし、既存リンクの価値を高める考え方です。
SEOではTier 2、Tier 3リンクなどと呼ばれることがあります。
ただし、この方法は不自然なリンク構築にもつながりやすいため、品質の低い自動リンクや大量リンクを使う場合は注意が必要です。
Samuels氏自身の発言にも攻めたSEO手法が一部含まれているため、すべてを一般企業がそのまま採用すべきという意味ではありません。
AI時代には複数の情報発信を同時に行う
Samuels氏は、AI検索へ表示されるには、Webサイトだけを更新すればよいわけではないと説明しています。
企業は複数の場所で、継続的に情報を発信する必要があります。
具体的には次のような活動です。
- Webサイトの記事
- サービスページ
- YouTube動画
- YouTube Shorts
- SNS投稿
- 施工写真
- 商品写真
- 顧客事例
- プレスリリース
- Googleビジネスプロフィール
- 業界ディレクトリ
- Redditなどのコミュニティ
特に地域ビジネスでは、実際の仕事の写真や動画を公開し、自社が競合企業と何が違うのかを示すことが必要だとしています。
単にサービスを提供するだけで、仕事の内容や専門性をオンライン上へ公開しなければ、検索エンジンやAIから存在を認識されにくくなります。
最初にAIが自社をどう認識しているか調べる
AI検索対策の第一歩として、Samuels氏は企業名をChatGPTやPerplexityなどへ入力する方法を勧めています。
たとえば、次のように質問します。
- ○○株式会社とはどのような会社ですか
- ○○株式会社の主なサービスは何ですか
- ○○株式会社の所在地はどこですか
- ○○株式会社の評判を教えてください
- ○○株式会社と競合する企業はどこですか
その回答を確認し、次の点を調べます。
- 正しい会社情報が表示されるか
- 古い情報が表示されていないか
- サービス内容が正しく理解されているか
- 所在地が正しいか
- 競合他社と混同されていないか
- そもそも企業が認識されているか
動画では、創業約50年、Webサイト運営歴約30年の企業であっても、AI検索ではほとんど認識されていなかった例が紹介されています。
Webサイトの歴史やGoogleでの順位だけでは、AI検索での可視性が保証されるわけではないということです。
AIに知られていない場合はキーワードよりブランド構築
AIが企業をまったく認識していない場合、個別キーワードの記事を増やすより、最初にブランドの存在を明確にする必要があるとSamuels氏は説明しています。
その場合、最初の1〜2か月は特定のキーワード順位だけを追わず、次のようなブランド情報の整備を優先します。
- 正式な会社名
- 所在地
- 電話番号
- 代表者
- 創業年
- 提供サービス
- 対応地域
- 企業の歴史
- 専門分野
- 受賞歴
- 取引実績
- メディア掲載
- SNSアカウント
- 動画
- プレスリリース
Samuels氏は、AIが企業を認識していない場合、最初にプレスリリースを配信し、しばらくはキーワードよりブランド構築を優先することがあると話しています。
ただし、プレスリリースを配信すれば自動的に検索順位が上がるわけではありません。
プレスリリースは、企業情報を複数のオンライン媒体へ展開し、ブランドの存在と一貫した情報を増やすための手段として使われています。
SEO会社を選ぶときは「自社を集客できているか」を見る
動画では、信頼できるSEO会社の選び方についても具体的な助言があります。
Samuels氏が最初に勧めているのは、依頼を検討している地域やサービス名でGoogle検索し、上位に表示される会社を調べることです。
たとえば、Phoenixでマーケティング会社を探すなら、「Phoenix marketing company」などで検索し、上位に表示される会社を候補にします。
SEO会社が自社サイトを検索結果へ表示できていなければ、顧客サイトでどのように成果を出すのか確認する必要があります。
ただし、自社サイトの順位だけで優良会社と断定することはできません。
広告、ブランド検索、古いドメイン、地域差などの影響もあるからです。
少なくとも次の内容も確認する必要があります。
- どのような戦略を実施するのか
- なぜその施策が必要なのか
- 誰が作業するのか
- どの指標を測定するのか
- どのくらいの期間を想定しているのか
- 月次報告には何が含まれるのか
- サイトやコンテンツの所有者は誰か
- 契約終了後に何が残るのか
Samuels氏は、自社で複数のリード獲得サイトを運営し、数百のキーワードから自然検索の問い合わせを得ていると説明しています。
SEOが最初の投資とは限らない
Samuels氏の話で重要なのは、すべての企業へSEOを売ろうとしていない点です。
SEOは一般的に成果が出るまで一定の期間が必要です。
企業が数か月以内に資金不足で閉業する可能性がある場合、長期的なSEO施策だけを勧めても、成果が出る前に事業が続かなくなる恐れがあります。
そのような企業には、最初に次の施策を提案する場合があると話しています。
- リスティング広告
- コンバージョン重視のランディングページ
- 問い合わせフォームの改善
- 電話計測
- 短期的なリード獲得施策
- 営業ファネルの構築
まず短期間で問い合わせや売上を作り、経営状態を安定させてから、SEOへ投資する考え方です。
SEO会社を選ぶ際には、契約を取るために決まったサービスを売る会社ではなく、企業の資金状態や緊急性まで確認する会社かどうかが判断材料になります。
SEO停止後にアクセスが41%減少した事例
動画では、歯科グループがSEO契約を終了し、Claudeを使って自社で対応しようとした例も紹介されています。
Samuels氏によると、その企業ではSEO施策を止めてから約2か月でトラフィックが41%減少したといいます。
ただし、この数値について、Search Consoleやアクセス解析の画面、季節変動、アルゴリズム更新、変更した作業内容などは公開されていません。
そのため、AIへ切り替えたことだけが41%減少の原因だと断定することはできません。
それでも、AIツールを契約すれば、それだけでSEO担当者の戦略、技術監査、ページ構造の管理、計測、継続的な改善まで自動的に置き換えられるわけではないことを示すエピソードです。
成果として語られた具体例
動画では、正式なケーススタディではありませんが、Samuels氏が関わった事業の成果として複数の数字が語られています。
メディカルスパが約1,800万ドルで売却
Samuels氏が関わっていたメディカルスパの一つが、約1,800万ドルで売却されたと説明しています。
ただし、売却価格のうちSEOがどの程度貢献したのか、売上、利益、契約期間などの詳しい情報は示されていません。
月間約300件のリード
別の顧客企業では、約3年間の関係を通じて、月に約300件のリードを獲得していたと話しています。
こちらも業種、広告との内訳、リード品質、成約率などは公開されていません。
自社リードの約30%をメールから獲得
Samuels氏の事業では、毎朝数百件のメールを送るファネルを運用し、自然に獲得するリードの約30%がその仕組みに関係していると説明しています。
この部分はSEOだけでなく、アウトバウンドメールやマーケティングオートメーションも含む事業戦略です。
これらは本人の発言に基づく数字であり、第三者が検証した実績ではない点には注意が必要です。
Webサイトやデジタル資産の所有権を確認する
対談では、SEO会社やWeb制作会社との契約終了後に、企業が自分のWebサイトを使えなくなる問題も取り上げられています。
一部の会社は、顧客との契約が終了すると、次のような資産を停止・削除・回収する場合があります。
- Webサイト
- ドメイン
- 電話番号
- コールトラッキング番号
- コンテンツ
- 写真
- アクセス解析アカウント
- 広告アカウント
- CRM
- プラグイン
- 独自システム
- 構造化データ
- 作成したページ
Samuels氏は、顧客が料金を支払って完成した作業は、原則として顧客に残すべきだという立場です。
契約前には、最低でも次の点を確認する必要があります。
ドメインの登録者
ドメインが制作会社名義ではなく、自社または代表者名義になっているか確認します。
Webサイトの管理者権限
WordPressなどの管理者アカウントを自社でも保有しているか確認します。
サーバー契約
サーバーを誰が契約し、解約時にデータを移行できるか確認します。
Googleアカウント
Google Analytics、Search Console、Google広告、Googleビジネスプロフィールの所有者権限を自社が持っているか確認します。
電話番号
広告代理店が用意した追跡用電話番号を解約後も利用できるか確認します。
コンテンツの著作権
文章、画像、動画、デザイン、ソースコードの権利が誰に帰属するか契約書で確認します。
PDFレポートだけでは成果を判断できない
Samuels氏は、SEO会社から送られてくるPDFレポートだけを見て、施策が順調だと判断することにも否定的です。
PDFそのものが悪いわけではありません。
問題は、都合のよい数字だけを選んだ静的な資料では、実際に何が行われたか確認できないことです。
事業者側も最低限、次の項目を確認できるようにする必要があります。
- Search Consoleのクリック数
- Search Consoleの表示回数
- 検索クエリ
- ランディングページ
- Google Analyticsの流入
- 問い合わせフォーム数
- 電話件数
- 有効なリード数
- 成約数
- 売上
- 実施した作業
- 修正したページ
- 次月の計画
順位やアクセス数が増えていても、問い合わせや売上につながっていなければ、事業成果として十分とは限りません。
Salterra Universityとは
動画の後半では、Samuels氏が再始動させたSalterra Universityも紹介されています。
もともとは、自社スタッフ向けの標準作業手順書や研修をまとめる場所として作られました。
その後、オンページSEOや構造化データの講座を追加し、現在はSEOだけでなく、デジタルマーケティング全般を学ぶ教育サービスへ拡張されています。
動画で紹介された主なテーマは次のとおりです。
- SEOの基礎
- オンページSEO
- 内部リンク
- 構造化データ
- Webサイト監査
- アクセス解析
- 電話・フォーム計測
- コンバージョン率最適化
- コンテンツ制作
- 画像制作
- ファネル構築
- マーケティングオートメーション
- YouTube最適化
- AI検索での可視性
- サーバーログ分析
- クロール分析
- 代理店業務の仕組み化
コンバージョン率最適化だけでも27レッスンがあり、2026年末までに全体で約40講座へ増やす予定だと説明しています。
ただし、参考記事と動画の終盤はSalterra Universityの販売促進も兼ねています。
したがって、教育内容の紹介については、第三者による比較評価ではなく、運営者本人による説明として捉える必要があります。
この参考記事は宣伝なのか
今回の参考記事は、IssueWireを通じて配信されたプレスリリースです。
第三者の記者が独自に調査した報道記事というより、Podcastの新エピソードと出演者の事業を紹介する広報コンテンツです。
記事の構成も次のようになっています。
- Podcastの新エピソードを紹介する
- Terry Samuels氏の経歴を紹介する
- AI時代にもSEOが必要だと説明する
- SEO会社の選び方を紹介する
- Salterra Universityの内容を紹介する
- Podcast視聴へ誘導する
したがって、一定の宣伝目的はあります。
特にSalterra Universityの紹介部分は、教育サービスの認知拡大を意図した内容です。
一方、YouTubeの本編は約1時間にわたり、AIサイトの失敗、内部リンク、SEO会社との契約、事業者の資金状態、被リンク購入など、参考記事に収まりきらない実務的な話題も扱っています。
参考記事だけを読むと一般的な「AI時代にもSEOは必要」という宣伝的な内容に見えますが、動画と合わせることで、Samuels氏が何を重視しているかがより明確になります。
発言をそのまま事実と考える際の注意点
動画には具体的な数字や成果例が登場しますが、いずれもSamuels氏または司会者の経験談です。
次のような数値について、第三者の監査資料や分析画面は公開されていません。
- SEO停止後にアクセスが41%減少した
- 600キーワードから70キーワードへ減少した
- 内部リンク修正後に急上昇した
- 月間300件のリードを得た
- メディカルスパが1,800万ドルで売却された
- 自社リードの30%をメール経由で獲得している
そのため、正式なSEOケーススタディとして利用する場合は、実施期間、対象キーワード、変更内容、アクセス解析、広告の有無などの追加情報が必要です。
記事では、個別の数値を「実証された一般法則」として扱うのではなく、「Podcast内で紹介された経験例」として紹介するのが適切です。
まとめ
Terry Samuels氏がThe Third Knock Podcastで伝えている中心的なメッセージは、AIによってSEOやWebサイトが不要になるのではなく、最適化する対象が広がっているということです。
AI検索で企業を発見してもらうには、AIが参照できる正確で一貫した情報をオンライン上へ公開する必要があります。
その中心となるのが自社Webサイトです。
Webサイトに加えて、動画、SNS、プレスリリース、ビジネス情報、顧客事例などを連携させ、企業の専門性と実在性を複数の場所で示すことが重要になります。
一方、AIを使って大量のページを生成しただけでは、検索成果にはつながりません。
タイトル、URL、H1、地域情報、内部リンク、301リダイレクト、クロール、インデックス、計測、コンバージョンなど、従来からある技術的な基本が必要です。
特にSamuels氏が重視しているのは内部リンクです。
古いURLへの内部リンク、誤ったページ同士のリンク、ページの役割の重複を整理することで、検索エンジンがサイト構造を理解しやすくなります。
また、SEO会社へ依頼する際には、検索順位だけでなく、戦略を説明できるか、自社を集客できているか、作業内容を開示するか、デジタル資産が顧客に残るかを確認する必要があります。
今回の参考記事はPodcastとSalterra Universityを紹介するプレスリリースであり、宣伝的な側面があります。
しかし、動画本編には、AI生成サイトのリスク、内部リンクの修正、SEOと広告の使い分け、業者選定、所有権など、事業者がSEO会社やWeb制作会社を選ぶ際に参考となる実務的な論点も含まれています。
AIはWeb制作やマーケティングを効率化できますが、技術知識、事業戦略、品質管理、計測まで自動的に代替するものではありません。
AI時代ほど、企業が自分の情報を所有し、正しく構造化し、複数のデジタル媒体を通じて一貫して発信することが重要になっている、というのが今回の対談の結論です。












