AIアシスタントに自社のことを尋ねたとき、閉鎖した事務所の住所や、すでに退任した役員の名前が「現在の情報」として返ってきたら、困りますよね。ブランディング会社のBrand Visionは、AIの回答は「その会社について書かれた情報源」から組み立てられるため、ブランド情報の一貫性が検索シグナルの一部になりつつある、と指摘しています。
この記事は同社自身のブログ投稿で、同社はAI検索最適化のサービスも販売しています。数値データは示されておらず、AIの挙動に関する主張は同社の見立てです。ただ、実務で点検しやすい内容なので、要点を整理します。
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AIの回答は、どんな情報源から作られるのか
記事が挙げる主な情報源は次のとおりです。
- 自社サイト(トップ、会社概要、連絡先、拠点のページ)
- Googleビジネスプロフィールや各種ディレクトリ、口コミサイト
- SNSプロフィールの紹介文
- 報道記事や取引先のページ
- 著名な組織であれば、公開ナレッジベース
GoogleのAI概要は通常の検索と同じインデックスを参照するとされ、OpenAIもChatGPTの閲覧用クローラーを学習用とは別に公開しています。つまり、クロールできる状態であることは従来どおり前提です。AIクローラーの制御についてはこちらの記事も参考になります。
なお、AIが情報源をどう重み付けするかは公開されていません。記事は「情報が食い違えば回答は曖昧になり、一致していれば自信を持って繰り返される」という観察を出発点にしています。
ズレやすいブランド情報の5分類
- 名称:正式名称、通称、略称、法人格の有無などが混在しがちです。主に使う名称を1つ決め、正式名称は必要な場所に限る、という整理が勧められています。
- 説明文とカテゴリ:自社サイト、ビジネスプロフィールのカテゴリ、古いディレクトリの記載が食い違うケースです。
- 経営陣:退任者が残るページや、旧役職を記した略歴を、AIが現職として扱う恐れがあります。
- 拠点・連絡先:閉鎖した事務所が、ディレクトリ上で現住所として残り続けます。
- 事業内容:個人向けから法人向けへ軸足を移したのに、古いページが以前の事業を説明したままになっている例です。「提供内容と対象者を述べた最新の1文を、あらゆる場所で繰り返す」ことが提案されています。
構造化データで「同じ会社」であることを伝える
Organizationスキーマには、名称・ロゴ・URL・説明・設立情報・連絡先を入れ、sameAsには自社が管理する公式プロフィールを並べます。これにより、似た名前のアカウントの中から公式のものを機械が判別しやすくなります。よくある失敗は次の3つです。
- 放置したプロフィールをsameAsに載せ続けている
- マークアップの内容が、画面に見える本文と矛盾している
- テーマとSEOプラグインの両方がOrganizationを出力し、名称やロゴの候補が2つ存在する
対策として、Organizationブロックは1つにして本文と一致させ、サイトやブランドが変わるたびに見直す、という運用が示されています。また、掲載基準を満たさない組織が、マーケティング目的でWikidataの項目を作ることは勧めない、とも述べられています。まずは自社サイトの現状確認から始めるとよいでしょう。
社内の誰も書いていない情報にも手を入れる
口コミは公開されクロールされるため、AIによる要約の材料になり得ます。記事は次の対応を挙げています。
- 口コミには返信し、事実誤認は議論せずに訂正する
- 満足した顧客に、利用したサービス名を具体的に書いてもらうよう依頼する
- 報道や取引先には、最新の会社紹介文(ボイラープレート)を渡し、古い文面のコピーを防ぐ
- 事実を誤って載せた媒体には、最新情報を送って訂正を依頼する
四半期ごとの監査手順
監査は四半期に1回と、社名変更・移転・役員交代のたびに行うことが勧められています。
- ファクトシートを1枚作る:主要名称、1文の事業説明、カテゴリ、創業者と現経営陣、拠点、連絡先、運用中の公式プロフィールをまとめます。半日あれば作れる、とされています。
- 自社の情報源を重要な順に確認する:会社概要・チーム・連絡先ページ、ビジネスプロフィールとカテゴリ、スキーマと画面表示の整合の順です。
- 外部の情報源を整理する:ディレクトリ、SNSプロフィール、口コミサイトの古い記載を直すか削除します。
- 複数のAIに質問する:「この会社は何か」「創業者は誰か」を尋ね、ファクトシートと照らし合わせます。AIの回答は情報源の更新から数週間遅れるとされるため、約1か月後にもう一度確認します。
担当の分け方も例示されています。ファクトシートはブランド・マーケ責任者、スキーマと主要ページはWeb担当、ビジネスプロフィールとディレクトリは運用部門、ボイラープレートと報道の訂正は広報の役割です。
まとめ
AI時代のブランド管理は、新しい施策を足すというより、事実を1か所に書き出し、自社の情報源を揃え、手の届かない情報源には訂正を働きかけ、カレンダーに沿って点検する地道な作業です。記事はこれを「メディア費用ではなく、維持の手間で賄える」と表現しています。
まずは自社名をAIに尋ね、返ってきた答えの古い箇所から、元になっている情報源を探してみてください。





