米国の住宅ローン分野でSEOとAI検索を支援するRankWriters共同創業者のAllie Leng-Barton氏が、米メディアHousingWireに寄稿したコラム(2026年10月8日付)が注目されています。ある大手ローン会社のブログを監査したところ、直近の四半期でクリックがゼロだった記事が107本もあった、という内容です。なお、これは米国の住宅ローン会社1社の事例であり、著者自身がSEOサービスを提供する立場でもあります。一般化しすぎず、「ひとつの実例」として読むのが適切です。
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何が起きていたのか:順位は上がったのにクリックは減った
監査の対象は、5〜10年かけて積み上げた400本以上の教育コンテンツを持つブログです。そのうち107本は、直近四半期にクリックが一度も発生しませんでした。多くは検索順位自体は維持されており、ある記事は17万回以上表示されながら訪問は13回だったといいます。
前年比の数字は次のとおりです。
- クリック数:35.8%減少
- 表示回数(インプレッション):26.7%減少
- 加重平均掲載順位:12ポジション改善
つまり「順位が良くなったのに、クリックが減った」という、従来のSEOの常識では説明しにくい状態です。基本的な不動産用語を解説したページは約29万回表示されたものの、訪問につながったのは約0.1%でした。
減ったのは「基本的な答え」のページ
落ち込みが大きかったのは、用語の定義、基本的な説明、定型的な手続きの質問、一般的な住宅購入情報といったページでした。著者は、これがすべてAI Overview(Google検索結果の上部に表示されるAI要約)のせいだと断定しているわけではありません。Search Consoleでは原因をAI要約に特定できないためです。ただ、基本的な答えなら検索結果の画面だけで完結できるようになり、サイトを訪れる必要が薄れた、という点を指摘しています。
順位が改善しても、そもそも「クリックする必要がない」検索では成果につながりません。これがゼロクリック(検索結果上で答えが得られ、サイトに訪問されない状態)の実務的な意味です。
伸びていたのは「判断の場面」に寄り添うページ
一方で、成長していたのは、予算の考え方、返済に関する疑問、特定の物件・状況に応じた内容など、利用者が実際に意思決定をする場面のページでした。定義を知りたい人ではなく、「自分の場合はどうか」を知りたい人に向けた内容です。
「AIに引用されること」を次の順位競争にしてはいけない
この記事で特に重要なのが、AI言及に対する慎重な姿勢です。ChatGPT、Gemini、Google AI Overviewsでの言及を追跡することに価値はあるものの、引用されたこと自体が自動的に価値になるわけではないと著者は述べています。
たとえば、基本的な用語の定義が引用されても、検索意図は変わりません。用語を調べている人が、その日にローン会社を選ぶ可能性は低いからです。すべてのページを引用させることがゴールではなく、事業にとって意味のある質問で見つけてもらうことが目的だ、という整理です。
AI可視性の測り方については、当サイトのAI可視性の幻想を超えて:GEOで成果を出すKPI設計と実践フレームも参考になります。
実務でどうするか:4つの判断でページを棚卸しする
著者は、クリックが減ったページを次の4つに振り分けることを勧めています。
- 投資する(Invest):今も人が見つけ、読み、検索しているテーマ。強化する価値があります。
- 用途を変える(Repurpose):テーマ自体は重要だが、ページの役割を変えるべきもの。例として、実際の融資上限額、審査への影響、借り手のシナリオ別の解説などです。
- 統合する(Consolidate):同じ検索を取り合う複数ページを、ひとつの強いページにまとめる。
- 手放す(Let it go):関心そのものが消えたテーマ。書き直しても戻りません。
あわせて、失ったトラフィックの一部は取り戻せない(取り戻す価値がない)と割り切ることも提案されています。
これから作るコンテンツの方向性
- 基本の定義より、地域別の事情、制度や商品ごとの違い、最新の上限・条件、特殊なケース、次の行動が分かる内容へ深掘りする。
- 「記事数を増やせば強くなる」とは考えない。400本のライブラリを500本にする必要はなく、400本すら必要ないかもしれません。
- 「今あらためてブログを作るなら、このページを書くか?」と自問する。
著者は、SEOとAEO(回答エンジン最適化)は結局同じ方向に収束すると見ています。どちらも、有益で、事業につながる内容を持つコンテンツを評価する流れだという主張です。AI検索時代の指標設計については、AI引用時代、トラフィックを左右する唯一の品質シグナルとは?もあわせてご覧ください。
まとめ
この事例が示すのは、「順位」や「表示回数」だけでは成果を判断できなくなっているということです。基本的な答えを返すだけのページは、順位が高くてもクリックされにくくなっています。一方、判断を後押しする具体的なコンテンツは伸びていました。
- 順位とクリックを別々に確認し、クリックゼロのページを洗い出す。
- ページごとに「投資・用途変更・統合・手放す」を決める。
- AIでの言及数を追うときは、その質問が事業にとって意味があるかを見る。
単一企業の事例なので、自社サイトでもまずSearch Consoleで同じ傾向があるかを確かめることから始めてみてください。











「ゼロクリック記事107本の監査から見えたこと:順位が上がってもクリックが減る時代のコンテンツ棚卸しとAI引用の落とし穴」への1件のフィードバック