2026年10月9日ごろから、複数のアクセス解析データで「ChatGPT経由」のトラフィックが急減したという報告が相次ぎました。Search Engine Journalの報道によると、有力な説明は「ChatGPT内のリンクからタグ(utmパラメーター)やリファラー(参照元情報)が外れ、訪問が『Direct(直接流入)』として計測されている」というものです。OpenAIがバグだと認めて修正が始まったとも伝えられています。
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何が起きたのか:時系列の整理
- GPT-6が10月7日に有料プラン、10月8日に無料プラン等へ展開された
- 10月9日ごろからGA4などでChatGPT由来のセッションが急落
- 10月14日に、OpenAIがバグであることをAdobeの担当者に認めたと報じられた
- 10月15日から修正の展開が始まり、タグ付きクリックが前週同時間帯の95〜100%程度まで戻ったとの観測も出ている
ただし、修正がすべてのアカウントで反映されたわけではなく、SEOコンサルタントのGlenn Gabe氏のように「まだ変化が見えない」との声もあります。OpenAIのリリースノートにはリンク計測の件は記載されていないとされており、状況は流動的です。
各社データが示した数字
報道で紹介された主なデータは次のとおりです(いずれも各社の集計で、条件は異なります)。
- Graphite: AIアシスタント経由の流入が一定以上あるサイトで、GA4のChatGPT経由セッションが22〜57%減。CEOは平均でおよそ45%減と推計。モバイルアプリ経由の訪問の95%はタグだけに依存していたため、影響を最も受けやすい
- LLM Pulse: 10月9〜11日のChatGPTセッションは直前2週間の同じ曜日より約46%少ない一方、サイト全体のトラフィックはほぼ横ばい
- Adobe: ChatGPTが訪問の5%以上を占める約500ページで、ChatGPT経由が1日あたり約3.1万件減り、Directが約2.6万件増加。検索流入は7%減で、他の検索の動向と同程度。ただし4日分のサンプルデータに基づく初期の分析
Adobeのデータでは、ChatGPT経由が減ったページの3分の2でDirectが増えており、「消えた」というより「ラベルが変わった」可能性を示唆します。一方でLLM Pulseは、Directの母数がChatGPTよりはるかに大きく、小さな増加は検出しにくいと指摘しています。集計データだけでは、実際の訪問減とラベルの付け替えを切り分けられないというのが現時点の正直なところです。
なぜタグが消えたのか
原因については複数の見方が紹介されています。
- リンクを新しいタブで開く際に、リファラーを送らない設定になった。さらに、2024年の検索機能開始時から付いていたutm_sourceタグも外れた(Adobe側の分析)
- 回答本文中のインラインリンクはタグを失い、「ソース」パネルやショッピングのリンクではタグが残った(Graphite側の分析)
- チャートや比較表などを表示する新しい回答形式(Intelligent UI)への移行と関連している(Profound側の分析)
Peec AIの調査では、同じ100万件のプロンプトを10月2〜7日と9〜13日に実行したところ、回答内にWebページのURLが直接表示される割合が約8〜10%から42%に増え、その54%がホームページを指していました。これは「表示されたリンク」の数であり、実際のクリック数ではない点に注意が必要です。
なお注意したいデータの出どころ
上記のデータを出している企業の多くは、SEOやAI検索のツール・サービスを提供する側です。また、サンプル数が公開されていないものもあります。数字は方向性をつかむ材料として捉え、自社データでの検証を優先しましょう。
実務で何をすべきか
- レポートに注釈を入れる: 10月8日ごろ〜15日ごろを「ChatGPT計測に不具合の可能性がある期間」として記録し、減少を「失ったアクセス」と読まれないようにする
- ChatGPTとDirectを並べて見る: ChatGPTからの流入先だったページごとに、Directの増減を比較する。トップページも必ず確認する
- リファラーではなくUTMタグで数える: Adobeの担当者は、ほとんどのChatGPTクリックがリファラーなしで届くため、UTMタグを基準にするよう勧めている
- 自分で設定したUTMは影響を受けにくい: ChatGPT広告などに自社で付けたカスタムUTMは影響しないとされる
- 判断を急がない: 修正後のタグ復活で今後の計測は戻るが、すでに失われた期間の帰属は戻らない(Profound)。まずは数週間のデータで再評価する
AI経由の流入は、そもそも参照元が見えにくく、GA4でも「リファラーなしはDirectに入る」という構造があります。Search Consoleのデータ遅延のときと同様、計測側の問題で順位や流入が下がったように見えるケースは今後も起こり得ます。数字が急変したときは、施策や順位の問題と決めつける前に、計測の仕様変更や不具合を疑う習慣が大切です。
まとめ
今回のChatGPT経由トラフィックの急減は、少なくとも一部は「計測上の見え方の変化」だった可能性が高いと報じられています。ただし、実際の訪問減が混ざっていないとまでは言い切れません。レポートへの注釈、ChatGPTとDirectの同時比較、UTMベースの計測の3点を押さえつつ、修正の反映が進んだ後のデータで改めて評価しましょう。AI検索の流入を経営や施策の判断材料にするなら、「どこまでが計測できていて、どこからが推測か」を明確にして共有することが重要です。










